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いちご大福の発酵

熟成や発酵は僕のライフワークになってるので、身の回りにある腐りかけの食べ物が気になります。よく観察してみると、僕たちの身近にいつの間にか発酵してるものがあるようです。

ichigo daifuku
例えばいちご大福。僕はいちご大福が大好きなのでよく食べますが、時々大福の中のいちごが”シュワシュワ”してる事があります。これは発酵によってガスが発生したからだと思われます。いちごを常温で放置して熟成を待ってもこういった事にはなりませんが、大福の中のいちごは2、3日放置するとガスが発生します。おそらくあんこの影響を受けて発酵が促されるためだと考えられます。そして、この”シュワシュワ”したいちご大福、メチャ美味いんです!
いちご大福を購入する時、基本的には「当日中にお召し上がりください。」と書いてますが、ぜひ常温で2、3日放置してから食べてみてください。美味しいんです。

他にもサングリアを冷蔵庫の中でしばらく置きっ放しにしておくと、漬けこんでるフルーツにも同じ現象が起こります。そして当然このフルーツも激ウマ!

みなさんも試してみてください。

※私は科学者ではなく、この文章にもなんの裏付けもありません。単に私の予想です。なお、これらのいちご大福やサングリアを召し上がって体調が悪くなられてもいっさいの責任を負いかねます。

 

激ウマ DRY AGED BEEF!(ドライ エイジド ビーフ)

Dry Aged Beef(ドライ エイジド ビーフ)とは、乾燥熟成させた牛肉のことで、普通に熟成させた牛肉とはちょっと、いや、かなり違います。
通常牛肉の熟成期間は、と畜後5日〜10日前後といわれてます。
動物は死ぬと死後硬直するので、熟成によって肉が柔らかくなるのを待つ必要があります。
熟成期間は肉の色や質によってかなりの違いがあり、鶏肉や豚肉などの白肉は熟成期間が短く、牛肉や鹿肉などの赤肉や黒肉は、熟成期間が長くなります。

ドライ エイジド ビーフは、温度、湿度、風の流れ、そして熟成に必要な菌がしっかり管理された熟成庫の中で、20日〜3ヶ月以上も熟成されます。
もちろん肉の表面は黒くなり、カビも付いたりするので、見た目はあまりいいもんじゃありません。
しかも乾燥熟成で大量に水分を失った上、調理する前にはトリミングする必要があるので、歩留まりが悪く、どうしても高価な物になってしまいます。

dry aged beef

このTボーンステーキはシアトルの高級精肉店「Rain Shadow」のドライ エイジド ビーフです。
もちろんミディアムレアに仕上げたいので、調理には細心の注意が必要です。
まず常温にしばらく置いてから強めに塩胡椒して、グリルする場合は肉の表面にオイルをぬり、熱伝導がスムーズになるようにします。
常温にしばらく置く理由は調理時間をできるだけ短くするためです。中心温度を40℃くらいにしたいので、火にのせる前にその温度にできるだけ近づけます。
つまり、もう加熱調理は始まってるんです。

dry aged beef grill

火の入れ方のコツは、高温で肉の表面を焼き固め、美味しそうな色に仕上げます。
このステーキくらいの厚さだと表面に色がついた状態でも中心はまだ冷たいので、低温のオーブンに入れたり、下の写真のように温かい所で休ませてゆっくり火を入れていきます。

rest

また少し火の上にのせたり、休ませたりしてゆっくりゆっくり火を入れていきます。
美味しいものを食べるためには手間を惜しんではダメです。

ミディアムレア

十分休ませてあるので、カットしても肉汁があまり出ません。

アメリカの牛肉は、さほどサシも入ってないので本来、和牛肉ほど柔らかくはないのですが、ドライ エイジド ビーフは長時間の熟成によってかなりテンダーになってます。
しかも乾燥させてるのにとってもジューシー!
微生物や酵素が時間をかけて、たんぱく質をアミノ酸に分解してるので、強い旨味と奥深いフレーバーがあり、一度食べると忘れられない美味しさです。

日本は明治維新以降に食肉が始まったので、食肉の歴史が浅く、しかも魚の刺身を愛する日本人は「新鮮さ」を大切にするので、肉を熟成させるという発想がなかなか出てきません。
しかし、醤油や味噌、納豆や、僕の地元の高級食材 鮒ずしなど、日本人は元々、発酵や熟成のテクニックを持ってるので、和牛によるドライ エイジド ビーフの開発をもっと積極的に行い、神戸ビーフを超える、世界を驚かせる和牛を生み出せると思います。

kuma coffee(クマ コーヒー)

シアトルには美味しいコーヒーがたくさんありますが、僕のお気に入りはダンゼンkuma coffee(クマ コーヒー)。

kuma coffee

 

酸味が少なくて香り高いので、とっても僕好みです。

bellman stove top
休みの日にはBellman(ベルマン、これもお気に入り)のエスプレッソメーカーでカフェラテなんて作っちゃいます。oh my gosh! sooo gooood!

Green Chickpea(生のひよこ豆)

やったー!今年もGreen Chickpeas(生 ひよこ豆)のシーズンがやって来ました。

chickpea

 

15年も料理の仕事をしてると、滅多に食べ物で感動する事はありませんが、新しい食材に出会うと、若かった時みたいに好奇心や情熱が湧いてきます。
グリーン チックピーズはそんな食材です。

アーモンドにしてもひよこ豆にしても日本では乾燥してある物しかお目にかかれないのですが、ワシントン州では地元でひよこ豆を栽培してるので、生の物を仕入れる事ができます。
ウスイマメみたいに皮剥いて茹ででなので、かなりめんどくさいですが、これがスゲー美味いんです。枝豆みたいな味ですが、もっと複雑な香りがします。

プレップ担当の女の子が水ぶくれつくりながら、3時間くらいかけて1ケース分そうじしてくれました。お疲れさまでした。

グリーン アーモンド

海外のレストランで仕事してると、やっぱり見たことない食材に時々出会います。
アメリカでもたくさんの春野菜があり、日本と同じで緑色の物が多く、特に冬の長いノース ウェストでは、みんな春野菜を心待ちにしてます。

中でも僕のお気に入りはStinging Nettle(スティンギング ネトルの章参照)とGreen Almond(グリーン アーモンド)です。

green almond
上の写真はグリーンアーモンドをスライスしてるところですが、普段僕たちが食べてるのは、真ん中の透明の部分。透明にみえますが実は柔らかい種があり、乾燥させるといつものアーモンドになると思います。グリーンアーモンドは周りの果実の部分も食べることができて、味はとっても爽やかな酸味があり、普段食べるアーモンドとは全く違います。
Spinasseではスープのうきみにしたりしてます。

他にもいくつか、うちの店で使ってる春野菜を紹介します。

Rapini(ラピーニ)
ラピーニはアブラナ科の植物で、Broccoli Rabeとも呼ばれます。見た目は菜の花みたいで、日本人の僕にとってはホント春野菜って感じ。味も菜の花と似てて少し苦いけど、茎の部分はチョットかたい。

Lovage(ラベッジ)
セリ科のハーブで味はセロリみたいな感じですが、もっとスパイシー。

lovage

Ramp(ランプ)
辞書で調べると和名はヒラタマネギ。玉ねぎと言っても食べるのは葉の部分です。
アメリカではノーマル玉ねぎも青ネギも白長ネギも全部オニオンと表現します。
ランプはアメリカ北東部に自生する山菜らしく、味はオニオンというよりニンニクに近く、たぶんニンニクの仲間だと思われます。

Stinging Nettle

料理研究家と名乗って3年。恥ずかしながら新しい食材に出会ってしまいました。
イラクサという植物をご存知でしょうか?みんなが知ってる植物なら、料理人としてかなり恥ずかしいのですが、正直に告白します。初めて食べました。

stinging nettle

 

英語ではStinging Nettle(ネトル)と言うみたいで、見た目はシソみたいですが、葉や茎にはたくさんの小さな棘があり、毒があります。触れるとかなり厄介な痛みを感じるらしく、こうして写真を撮ってるだけで、同僚は「オーマイガッシュ!素手でそいつに触るなんてお前はクレイジーか?」と呆れてました。もちろん調理すると安全で、食べるとミントのような香りでとても爽やかな美味しさです。Spinasseではパッサートにしたり、バーニャ ベルデにしたりしてます。

注)日本でも自生してるらしいですが、ヨーロッパや北米のとは種類が違うらしいので、食べる前に専門家にたずねるなどして、よく調べてから調理してください。
もし身体に異常をきたされても、西村料理研究所では一切の責任を負いかねます。

黒いダイヤならぬ白いダイヤ!

ジェイソンが嬉しそうにガラスのビンの蓋を開けて僕の鼻に近づけてきた。
鼻に近づく前にその強烈な香りはキッチンを包んだ。
ウォー!まさしく「神様からのプレゼント格付け」トリプルAのトリュフ!しかもこのハンパない香りの 強さは白か?
         

じゃが芋みたいに見えるけど正真正銘の白トリュフ。ピエモンテのアルバ産で、$420したらしい。しかし、すばらしい匂いやなぁ。匂いだけで赤ワイン一本いけるなぁ。ブリア・サヴァラン曰く「台所のダイヤモンド」。まさにそれ。アイアグリー。神様ありがとう!

神様からの贈り物

地球上には、すばらしい食材がたくさんあります。
その中でもまさに奇跡、神様からのプレゼントか?と思わずにはいられない食材がいくつかあります。

と言うことで、奇跡の食材格付けをしますので、皆さんも「これ忘れてるやろ」って言うのがあれば投稿お願い致します。ちなみに、、肉類はイベリコ豚とか近江牛とか言い出すとキリが無いので入れません。熟成や発酵は、まさに神の仕業ですが、アルコール類やチーズ類、乳製品、加工肉も入れません。基本的には収穫したり、捕まえたりしたものからです。

AAA:カカオ(チョコレート)、コーヒー豆、バニラビーンズ、トリュフ、クロ鮪大トロ、420

AA+:シャンテレル(ジロール)、クロ鮪中トロ、

AA:モレル(モリーユ)、松茸、

AA-:アボカド、蟹(蟹ミソ含む)

A+

A:生牡蠣

A-

BBB+

BBB

BBB-

BB+

BB

BB-