スペイン Matanzaの旅⑤ Oliva

この旅のメインイベントであるマタンサをするために早朝からイベリコ豚を飼育している牧場に向かいました。

僕はこのマタンサの状況を終始撮影させてもらいましたが、屠殺の瞬間を撮影することはスペインの法律上禁止されてるのでビデオを止めました。屠殺方法は首の動脈をナイフで切り心臓が動いてる間に血をだし、息をひきとるのを待ちました。かわいそうな気もしますが、食べるということは、こういう事なんだと料理人として改めて気の引き締まる思いでした。

屠殺後ガスバーナーで毛を焼き、硬いたわしで焼けた毛をこすり取ったあと解体が始まりました。豚を仰向けに寝かせて腹部から手際よく開かれていきます。真冬の早朝ということもあって、開かれた豚からは湯気が立ちのぼります。

手早く内臓を引き剥がしたあとは、部位ごとに肉を外していきます。このようなFamily Matanzaの場合、ハモンセラーノになるもも肉やパレタになる前足なども全部バラしてサルチチョンやモルコン、チョリソにするみたいです。ロース肉と顎の下の肉はそのまま取り出し、Lomo(ロース肉の生ハム)とPapada(喉肉の生ハムで地元の人たちに大人気の生ハム)にしてました。

Matanzaの途中にお医者さんがきて、肝臓の一部を持ち帰りました。病気じゃないか確認するためです。後ほどお医者さんから電話があり、 OKが出てから腸詰めの作業を開始します。

腸や胃、膀胱などのケーシングになる内臓類はおばちゃん達が掃除してました。ドキュメンタリー映画を観てるみたいな、想像以上の光景がここにはありました。昔からずっとこんな風に受け継がれてきたんだろうなと思います。

ミンチにした肉は船のような木製の箱の中で調味料を加え粘りが出るようにこねた後、腸や膀胱、胃の中に詰めて完成です。

 

 

スペイン Matanzaの旅④ Extremadura

20.1.2017

スペイン人の友達Pabloの車でExtremaduraのOlivaという街に向かいました。スペイン南部の田舎道ではオリーブ畑をよく見かけますが、SevillaからExtremaduraの道のりはドングリの木でいっぱいでした。

途中休憩で立ち寄ったGalaroza(ガラロサ)のバルで生搾りオレンジジュースを飲みました。バレンシアオレンジって聞いたことありますよね!スペインではこのオレンジジュースを出してるバルがたくさんあって、これがめちゃくちゃ美味しいんです!美味すぎて一気飲みしてしまうので、いつも2杯はいっちゃいます!

ここはExtremaduraのJerez de los Caballeros(ヘレスデロスカバジェロス)という古くかなりヒリーな街です。ここでファクトリーマタンサを見学するために、Emilio Diazへ向かいます。

ここではハモンイベリコ、ハモンセラーノを中心にチョリソ、サルチチョン、モルコンなど非加熱の乾燥熟成加工肉ばかりです。建物内には独特のナッツのような熟成香が充満してます。この香りでワイン飲める!

この建物は3階建てで、1年毎にハモンセラーノを熟成させる場所を変え、夏には40℃以上にもなる環境で熟成を進めるそうです。ハモンの表面はカビだらけでした。こんな熟成肉を作るなんて。やっぱりヨーロッパの肉食文化はとてつもなく分厚いんだなと、改めて感動しました。

Calle Matadero(カジェマタデーロ)かっちょいいストリート名!スペインでは時々ベイビーのセールがあるみたい。

スペイン Matanzaの旅③ Sevilla

Sevillaには古い建物がたくさんありますが過去に万博が2回も開催されたこともあり、新しい建物もたくさんあります。

これは有名な建築家(名前なんやったかな?)が作ったランドマーク的建物。1階は市場になってます。

この市場内にあるバルで出会ったシニョールはスペインでは有名なコメディアンだそうな。寛平ちゃん的な芸風らしいです。

このコーヒーショップは僕たちが泊まってた宿のすぐ横にあったお店で、シャイでダンディーなおじさんが早朝から焙煎しててとってもカッコいい!焙煎マシーンはオランダ製のこだわりのやつやってさ。

スペインではイベリコ豚は全てハムやソーセージに加工されるって聞いてたけど、生肉がスーパーに並んでました。赤くて脂の霜降り具合も調度いい。やっぱ良い食材です。

スペイン南部は昔イスラムの影響を強く受けていたようで、可愛いタイルが町中に溢れています。ここは元修道院で、タイル会社が買取りタイル工場ににしたそうですが今はその工場も閉鎖され、今は美術館になってます。

さあ!ガールズ達とは別行動で、次の日から僕はExtremadura(エストレマドゥーラ)にこの旅のメインイベントであるMatanzaに挑みます。ガールズ達はポルトガルに!

Jambon de Paris

Jambon de Parisジャンボンドパリはフランスではもっともポピュラーな加工肉でしょう。

ジャンボンとはフランス語でモモ肉のこと。ジャンボンドパリを作る時の難しさは、ズバリこの肉の塊の大きさ!
ポイントは①しっかり塩漬けする。②確実に中心まで火を入れつつ中心から遠い部分は火を入れ過ぎずジューシーに。この二つのミッションをどうすればクリアできるか、レシピに頼らず科学的に分析し、それぞれの料理人が全身全霊を注いで工夫すべき奥の深い料理です。

ジャンボンドパリを塩漬けする時、僕はソミュール液に浸けます。理由はできるだけジューシーにしたいのと、長い塩漬け期間でも肉の腐敗を防ぐためです。

塩漬けが終わると形成して常温でしばらく置いときます。形成するときは手の皮が破けるくらいの強い力で!仕上がりにかなり影響します。3℃くらいの冷蔵庫で塩漬けしていた肉をいきなりオーブンに入れると中心温度が十分に上がる前に周りに火が入り過ぎてしまいます。そう、この状態でも調理は始まっているのだ!

eight hills delicatessenでは加工肉の火入れにはスチームコンベクションオーブンを使います。高価ですがなんとか手に入れたい武器ですね。仕上がりが全然違います。

オーブンの温度やモード、時間や肉の向きなど僕なりにかなり試行錯誤してそれなりの答えを出しました。

詳しいことが知りたい方はお店に来て僕に直接聞いてみてくださいねー!

スペイン Matanza(マタンサ)の旅① Malaga

16.1.2017

Matanza(マタンサ)とは豚を屠殺し、ハムやソーセージ、サラミなどを作るスペインの伝統的な儀式のようなものです。このマタンサを体験するため、再びスペインに行きました。今回は工場見学ではなく、ファミリーサイズで行われるリアルマタンサを体験するために。

 

今回の旅は僕と母親、パン屋さんを営む友達と美容関係の仕事をしてる友達の4人で、まずはスペインのMalagaに到着。夜遅かったので街は閑散としてましたが、とりあえずハモンセラーノをつつきながら旅のプランニング。

明日は早朝からSevillaに向かいます。

 

スペインでコーヒーといえばカフェコンレチェ。スペインはMadridとBarcelona以外はとにかく物価が低い。コーヒーは1ユーロしないこともあります。

スペインは意外と言えば失礼ですが鉄道がしっかりしています。サンブラーノ駅からAVEという新幹線みたいな電車でSevillaへ!

西村料理研究所の簡単調理理論! 加熱調理のメカニズム3(輻射熱)

輻射熱(放射熱)とは、温度の高い方から低い方に、赤外線や紫外線などの電磁波によって伝わる熱のこと。

これを調理法と調理器具で具体的にいうと、オーブン(輻射式)でのロースト、炭火焼などです。

輻射熱は伝導熱や対流熱と違って、水や気体、物体などを媒体としない特殊な熱なので、少しイメージしにくいですが、わかりやすい例は太陽ですね。

太陽と地球の間にはかなりの距離があり、空気も無い真空状態ですが、朝に太陽の光を浴びるとすぐに暖かくなりますよね。
これは決して太陽の熱が直接地球に届いてる訳ではなく、詳しくはわかりませんが紫外線や可視光線などの電磁波が直接地球を温めてるのだと思われます。

つまり輻射式の調理とは、熱されたオーブンの壁や天井、真っ赤に燃える炭火からの赤外線によって、直接食材の表面を直接加熱する調理方法なのです。

⚫︎炭火焼

下の図はかなり原始的なローストの絵面ですが、炭火焼のイメージです。

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下の炭火から出る遠赤外線で食材の表面が直接加熱されてます。
上でも書きましたが、輻射熱は空気やオイル、水などを媒体としないので、横から風が吹いたとしても食材は加熱されます。

豚肉を半頭で仕入れる(1日目)

eight hills delicatessenでは普段部位ごとに豚肉を仕入れてハムやソーセージなどの加工肉を作ってますが、食べる事や料理する事に料理人として、より真剣に向き合うため豚肉を半頭で仕入れることも定期的に行うことにしました。

長崎県で中ヨークシャー種を飼育されてる味菜自然村さんの豚は放牧豚なので筋肉が発達し、とっても赤く、肉の旨みが強いです。

 

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1日目はまず、骨を外し、部位ごとに切り分け、塩漬けなどを行います。

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切り分けた肉はそれぞれマリネし、真空パックします。

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リブやロースは半分ずつに分け、パンチェッタとロースの生ハム、ラルドの塩漬けもしました。もう半分のリブとロース、もも肉はソミュール液につけ、ベーコン、ロースハム、ジャンボンブランになります。

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これで1日目の作業は終了。AM3時です。通常営業終了後から、まさに命を削りながら料理しております。

 

外人生活のススメ②(craigslist Seattle)

シアトルに着いてまず社長に案内されたホームステイ先はMercer Island(レイクワシントンに浮かぶ島)にある社長の知り合いの家でした。このマーサーアイランドは立地的に交通の便は良かったんですが、仕事を退職したような年寄りや金持ちが住むとっても退屈な島で、夜barに行きたくても何もなく、僕が夢見るアメリカ生活とは程遠いものだったので引っ越すことにしました。

Map

ここで使うのがcraigslistです。クレイグスリストにはcraigslist San Franciscoやcraigslist Portlandのように各町にあるウェブサイトでみんな自由に投稿できます。そこで小さなレストランからMicrosoftのような大企業まで求人情報を載せたり、生活雑貨から車まで売り買いが行われたりしています。このクレイグスリストで不動産やルームメイトの募集もしているのです。そしてとうとうcraigslist Seattleで見つけました。場所はCapitol hill の近く、Montlake! 通称Montlake Howse(モントレイクハウス)です。ここで出会うルームメイト達が僕のアメリカ生活をグレイトなものにしてくれました。

クレイグスリスト シアトルでこのモントレイクハウスを見つけた僕はすぐにメールすると、総勢5人で住むこの家のリーダーであるMelanieから返事が来ました。どうもこのモントレイクハウスでは毎週1回ファミリーディナーと称してルームメイト全員で晩御飯を食べる日を設けているようで、そのディナーに遊びにおいでと言うのです。断る理由もないので、僕は手土産にビールを持ってファミリーディナーに伺いました。着いた途端、僕はこのディナーの趣旨に気づくのです。これはテスト!実はこの日、僕以外にアメリカ人の女性2人も呼ばれていたのです。

Family dinner1Family dinner2

ディナーの後にはカードゲームを楽しみ、僕もこの家に住むShavaと言う猫を終始ヒザに乗せながら、ぎこちない英語でなんとか話にはついていったものの、当然他2人のネイティブスピーカーほどは喋れず、ディナーは終了。退屈なマーサーアイランドで面接試験の結果を待つこと3日。合格通知とも言えるメールが、メラニーから送られてきました。「私たちはTakeshiroを選んだので、いつ引っ越しして来れる?」マジで!?僕? アメリカでアメリカ人の人たちと一緒に住みたいという一つの目標が早々に達成できて、本当に嬉しかったです。

早速入居した僕はみんなに、なんで僕を選んだのか尋ねました。みんなは、僕がレストランで働くためにシアトルに来たことや考え方がカッコイイと思ったからだと言ってくれました。あと、ハウスキャットのShavaも僕を選んでたしね!とアメリカ人らしいジョークで答えてくれました。アメリカってホント良いとこやー!

外人生活のススメ①

みなさんは外人になったことがありますか?

ぼくは2013年から2年間、アメリカのシアトルで外人として生活しました。外人生活をおくるとサバイバル能力が身につき、価値観が変わり、視野が広がり、脳みそが開き、自分の国での生活との権利や義務の違いに気付き、、、まぁとにかく人生のうちで、出来る事なら一度は外人として生きてみるもの良いと思います。

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まずはビザです。僕は当時15年ほどイタリアンなどのレストランで経験がある料理人だったので、そのキャリアを生かす形でビザの取得に挑戦しました。

どこの国でもそうですが、ワーキングビザの取得は非常に困難なので、選択可能なビザは観光ビザ、学生ビザ、J−1(日本語名忘れました)ビザの3種類。その中でも働けるのはJ−1ビザだけだったので、J−1ビザでアメリカに行く方法を考えました。アメリカにはワーキングホリデーは無いのです。残念!

J−1ビザとはアメリカにある日本企業で働きながら技術を学ぶというビザで、正式にはサラリーではなくスタイペンド(報酬)をいただきながら勉強するという名目です。このビザを発行してくれる企業をシアトルに発見したので、早速メールで連絡を取り、Skypeで面接していただき、様々な困難な手続きを経てようやくJ−1ビザの取得に至りました。

この企業はシアトルとベルヴューでベーカリーショップを経営されてる会社で、ペイストリー未経験の僕がベーカリーショップで働くことになったのです。

このように、日本では自由に仕事を選ぶことができますが、外国ではそういう訳にはいかないのです。