西村料理研究所のコンセプトは ジャパン キュイジーヌ 。
私が考えるジャパンキュイジーヌ とは 寿司 や割烹などの本格日本料理の事ではなく、日本と海外の食文化やクッキングテクニックの融合です。日本では明治維新以降に食の西欧化が始まり、戦後、バブル期には急速に進みました。今では東京や大阪などの大都市ではたくさんの国々の料理を食べる事が出来ます。
私達は普段、「今日はパスタにしようか、中華料理にしようか、やっぱ寿司食べに行く?」という感じに食べたい料理を選択出来ます。実はこういう食文化の国は世界でもまだ少なく、アメリカやカナダ、オーストラリア、イギリスではロンドン、ドイツではベルリン、フランスのパリなど、限られた国と大都市でしかインターナショナルに食事を楽しむことが出来ません。意外にも殆んどのヨーロッパの国では、食文化はかなり閉鎖的です。

バブル期の異常なまでの食の西洋化は変な多国籍風のレストランを沢山生み出しました。バブル崩壊以降は「高級ではないけど本物を食べたい」という考え方がひろがり、ヨーロッパ帰りのオーナーシェフが営む小さなトラットリアやビストロなどの本格イタリアンや本格フレンチの店が流行りましたが、本物をウリにしてる店でも実際はかなり創作してたり、メニュー内容も現地の店とはほど遠いものだったと思います。(勿論本物を提供してるお店もあります。)
でも私はそれでイイと思います。イイと言うか日本で本物の外国料理を作るのは基本的に不可能です。まず、食材の種類や値段などが国によって全然違うので、飲食業という商売で利益を出すためには、日本風にアレンジせざるを得ません。次に、実際ヨーロッパを訪れた方は経験があると思いますが、ヨーロッパの人達は、基本的には地元の料理ばかり食べています。ローマの人はボロネーゼは食べないんです。ローマのレストランで「ボロネーゼが食べたい」と言うと「じゃあボローニャに行ってこい」と言われます。
つまり、沢山の選択肢が有る日本とそうでない国は違うのです。でも、だからと言って「ヨゴレ」料理を作ってはいけません。パスタソースにやたら醤油を入れたり、牛肉の赤ワイン煮込みに八丁味噌を加えたりしてはいけません。鮪の大トロのにぎりにケチャップかけたりしませんよね?それと同じです。

では日本のシェフ達は何を考えて料理すべきでしょうか?
そこでジャパンキュイジーヌです。例えばカリフォルニアキュイジーヌが良い例です。アメリカは歴史が浅いので、自国の食文化があまりありません。元々ヨーロッパ人が植民地化した国で、「人種のるつぼ」と言われる世界でも一番のインターナショナルな国です。皆さんはアメリカと言えばジャンクフードの印象が強いでしょうが、「Melting pot」のアメリカにはアメリカの本格多国籍料理あり、かなりレベルの高いレストランが沢山あります。つまり、カリフォルニア キュイジーヌとは移民の人達が故郷の料理をアメリカ風にアレンジした料理なのです。
日本はまだ移民国家ではなく、私の考えるジャパン キュイジーヌは日本人が作る物なので、アメリカとは違いますが、考え方は同じでいいと思います。
実は日本にもジャパンキュイジーヌの傑作がいくつかあります。
フレンチのオムレットをアレンジしたオムライス。コリアンバーベキューをアレンジした焼肉。中華麺をアレンジしたラーメン。ハンバーグ(歴史を語ると長くなりますが、ハンバーグは今や日本食です)などです。

つまり私が言いたい事は、イタリア人でもないのに、しかも日本では不可能な本格イタリアンを目指すのではなく、その国の料理をリスペクトした本格ジャパンキュイジーヌを目指すべきだということです。