西村料理研究所の簡単調理理論 加熱調理のメカニズム1(対流熱1)茹でると揚げる

調理法を選ぶ時、何を基準にしてますか?
なんとなく?レシピに書いてあるから?

調理法にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、食材の種類や状態、求める結果を考えて選ぶべきだと思います。

食材を加熱調理する場合、熱の伝え方は大きく分けて3種類あります。
①対流熱
②伝導熱
③放射熱(輻射熱)
の3種類です。

今回は①の対流熱についてです。
対流熱とは、気体や液体、油などが対流して、つまり熱を帯びた気体や液体などが代わる代わる食材に触れて熱を伝えるシステムです。
具体的には、茹でる、蒸す、揚げる、煮る、蒸し煮、熱風を当てる(コンベクションオーブン)などの調理法です。
下の図は「茹でる」や「揚げる」のイメージです。

対流熱 水

高温になった水や油が対流して、図のように食材に代わる代わる触れる事によって熱を伝えます。
では、「茹でる」と「揚げる」は何が違うのか。決定的な違いは温度です。
水はもちろん100℃以上にはならないので、食材に焦げ目を作る事ができませんが、油はもっと高温(180℃〜200℃が適温)にできるので、茹でるのとは違う風味(メイラード反応によって)が生まれます。

●茹でる
茹でるとは、高温の液体の対流熱による加熱調理で、簡単な調理法。
ほとんどすべての食材に向いてる調理法と言えますが、食材の味や風味などが水に溶け出し易いので、注意が必要。
逆にこの特徴を活かしたものがブロードなどの出汁です。
「茹でる」の仲間には「煮る」「ポシェ(ポーチ)」(ゆっくり茹でる)などがあります。

●揚げる
揚げるとは、100℃以上の高温の油に水分を含んだ食材を入れ、「水と油の交代現象」によって加熱する調理法です。簡単で、非常に効率的に加熱調理ができます。
水と油の交代現象とは、100℃以上に熱された水分が気泡となって蒸発し、水分が抜けた所に油が入り込む事です。
天ぷらやトンカツはメイン食材の代わりに、衣が水と油の交代現象を行ってくれるので、外側はサクサクでもメイン食材自体はあまり水分を失ってないので、ジューシーに仕上がります。
もちろん油濃くなりますが、水と違い、油には食材のうま味などが溶け出しにくく、食材の味を凝縮し、しかも短時間で調理できるので、鮮度が大切な食材に向いた調理法です。

そして油の、食材のうま味などが溶け出しにくいという特徴を活かした調理法が「コンフィ」です。この「溶け出しにくい」というのが、水と油の大きな違いの一つです。

●コンフィ
コンフィとは、揚げるとは逆に、100℃以下の油や脂の中で茹でる調理法です。
塩や砂糖などは水溶性で、水には溶けますが、油には溶けません。油には香りは溶け出しますが、味は溶け出しにくい性質があります。この性質を利用し、肉類や骨付きの魚類などを長時間調理しても食材のうま味を失いにくく、しかも柔らかくできるのが、この調理法の最大のメリットです。

※僕は科学者ではなく、この文章も僕自身の経験によるところが多いので、多々間違いがあるかと思われます。ご理解頂ければ幸いです。

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