西村料理研究所の簡単調理理論! 加熱調理のメカニズム1(対流熱2)「蒸す」と「熱風をあてる(コンベクションオーブン)」

対流熱の続き。
●蒸す
蒸すとは、水が沸騰し、気化してできた水蒸気が、100℃以下の物に触れ、液体に戻る時に放出する凝縮熱によって食材を加熱する調理法。これも水蒸気が対流して代わる代わる食材に触れることによって加熱する対流熱の一つです。
凝縮熱をイメージすることは少し難しいですが、水の性質を考えれば比較的簡単にイメージできると思います。
水は日常生活の中では約100℃で沸騰し、飽和水蒸気となって気化します。水蒸気は加圧したり、加熱を続ける事で、より高温にすることができます。
つまり、100℃で気化するということは、100℃以下の物に触れると水に戻るという事です。
1gの水を1℃温度上昇させるのに必要な熱量が1kalで、1gの水蒸気が水に変わる時に放出される熱量は539kalなので、この数字をみると、凝縮熱がかなり効率の良いエネルギーである事がイメージできるかと思います。
この調理法は短時間での加熱が可能で、しかも常に食材が濡れてる状態なので、栄養を失いにくく、ジューシーに仕上がります。
しかし、食材の表面温度が100℃以上になると、効果がなくなると予想できます。
スチーム機能がついたコンベクションオーブンの登場で、世界中で人気急上昇の調理法です。

蒸す時に使う調理道具は、蒸し器、コンベクションオーブンのスチーム機能などです。

●熱風をあてる(コンベクションオーブン)
オーブンは基本的には2種類あります。「輻射式」と「対流式(コンベクション)」です。
輻射式オーブンについては③の放射熱(輻射熱)の章で書きます。
コンベクションオーブンにはファンが付いていて、熱風を対流させることで加熱調理します。
もちろんオーブン内の壁や天井からの輻射熱も放出されます。
下の図がコンベクションオーブンを真上から見たイメージです。
コンベクションオーブン

ファンによって熱風を対流させるので、食材の配置が大切です。
下の図は悪い例です。
コンベクションオーブン2

この様に食材を配置すると、熱風が対流しにくくなるので、食材に均等に火が入りません。

●蒸し焼き
蒸し焼きは、「煮る」と「蒸す」を合わせたような調理法です。
下の図が蒸し焼きのイメージです。
ブレゼ

蒸し焼きは、食材が半分液体の中にあり煮てる状態で、半分は水蒸気の中にあり蒸してる状態になります。
液体の中でも水蒸気の中でも対流してることになります。
この調理法は、肉や野菜などを長時間調理して柔らかく仕上げ、うま味を食材の外にあまり逃がさないという効果が期待できます。液体はソースとして利用するのが良いでしょう。

※僕は科学者ではなく、この文章も僕自身の経験によるところが多いので、多々間違いがあるかと思われます。ご理解頂ければ幸いです。

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