この旅のメインイベントであるマタンサをするために早朝からイベリコ豚を飼育している牧場に向かいました。

僕はこのマタンサの状況を終始撮影させてもらいましたが、屠殺の瞬間を撮影することはスペインの法律上禁止されてるのでビデオを止めました。屠殺方法は首の動脈をナイフで切り心臓が動いてる間に血をだし、息をひきとるのを待ちました。かわいそうな気もしますが、食べるということは、こういう事なんだと料理人として改めて気の引き締まる思いでした。

屠殺後ガスバーナーで毛を焼き、硬いたわしで焼けた毛をこすり取ったあと解体が始まりました。豚を仰向けに寝かせて腹部から手際よく開かれていきます。真冬の早朝ということもあって、開かれた豚からは湯気が立ちのぼります。

手早く内臓を引き剥がしたあとは、部位ごとに肉を外していきます。このようなFamily Matanzaの場合、ハモンセラーノになるもも肉やパレタになる前足なども全部バラしてサルチチョンやモルコン、チョリソにするみたいです。ロース肉と顎の下の肉はそのまま取り出し、Lomo(ロース肉の生ハム)とPapada(喉肉の生ハムで地元の人たちに大人気の生ハム)にしてました。

Matanzaの途中にお医者さんがきて、肝臓の一部を持ち帰りました。病気じゃないか確認するためです。後ほどお医者さんから電話があり、 OKが出てから腸詰めの作業を開始します。

腸や胃、膀胱などのケーシングになる内臓類はおばちゃん達が掃除してました。ドキュメンタリー映画を観てるみたいな、想像以上の光景がここにはありました。昔からずっとこんな風に受け継がれてきたんだろうなと思います。

ミンチにした肉は船のような木製の箱の中で調味料を加え粘りが出るようにこねた後、腸や膀胱、胃の中に詰めて完成です。